I have no time!

※これは素材屋さんからお借りした画像です





















Wonder 1








「何やきっついわぁ〜・・何処やろか此処?」

忍足が見ているのは奇怪な風景だった。
昼なのか夜なのかも判らないが薄暗く紫の闇が充満している辺りを見回した。

どうやら自分は森の小道に立っているようだ。
時々街灯のように木々に灯りが点っている。
その下の道がぼんやりとオレンジに光っていた。

『ようわからんけども見た事も無い景色・・雰囲気・・?・・・・とにかくヤバイで俺・・』
そう思い、とりあえず元の場所に戻れる位の範囲を探索してみる事にした。

一歩歩く毎に小さな石と擦れ合ってジャリ、と音を立てる靴は見慣れた物だ。
いつもはいてるテニスシューズにこれまたいつも着ているジャージ。

忍足はテニス部に入っていたが今は部活の時間でもないし着替えた覚えも無かった。

毎日普通に学校に通う学生なのに何故にこんな森の中でいきなり迷っているのか?
しかし何やら肌寒くて半ズボンじゃなかっただけマシと思う。

灯りを辿ってそのうち道標でも出てきてくれればまだどうにかなるかもしれないと思って歩き続けた。

ふと気付くと道の真ん中に何かがあった。
緑色の塊だ。

『ただの草』

そう思ってそのまま進んでいった忍足は心臓が縮み上がる思いをしてしまった。

少し変わったやけにフサフサした草だと思っていたそれが生き物のように動き出したからだ。
いや、生き物としか思えない。
しかもそれは一つではなく小さい物が固まっていたらしく幾つもの塊がバラバラに動いていた。

自分でもよくわからない悲鳴を発して忍足は後ろに倒れてしまった。
所謂尻餅体勢である。

自分がかっこ悪いなどと考えている暇もなくその脇を小さな草の塊が虫のように音も無くすり抜けていった。
変にスムーズで気持ちが悪いほどの動きが恐怖を煽った。
おまけに掠っていった感触があり、まるでゴキブリにたかられたような最低な気分だ。

忍足は地に着いた手が震えて暫く立ち上がる事が出来なかった。

しかしいつまでもこうしているとまた何かに襲われるかもしれないと立ち上がる。
いや、その生物からすれば忍足の方が襲って逃げていったという事になるのだろうか。

『あれは鼠が草かぶって擬態しててん・・』
忍足はそう思い込もうとした。

そうでも無ければ怖過ぎて挫けそうだ。

忍足はいつまで続くかわからない暗い道を見た。

上を向いて出口らしき物を見逃さないようにすべきだ。
そしていきなり横から何かが飛び出してこないように気をつけるべきだった。

しかしどうしても下を向いてしまう。
するとだんだん自分の影が揺れるのすら恐ろしくなってきて目を伏せながら正面を見た。

やはり道だけを避けて他をびっしり埋め尽くしている木々には灯りが点っていた。
それが蛍のように思え、何か神秘的で美しい光景にも思えてくる。

『麻痺してきたみたいや・・・』

自分がどうやって足を動かしているのかも解らなくなってきた頃、森の出口に近い事に気付いた。
少し視界が開けてきた。
道は広くなっていく。

ある部分からジャリ道は終わって、レンガを敷き詰めたような道に変わっていっている。
簡素なクリスマスツリーを思い出させる木々の灯りは無く代わりに街灯が燈っていた。

忍足は少し嬉しくなって足を速めた──

不意に街灯の一つが強い光を放ったのを見て忍足は化け物でも現れたように思え、ささくれた木の幹にへばり付いた。
手の平に木の棘が刺さったようだがあまり気にならなかった。

息を潜めてじっとしていたが低い唸り声などが聞こえてくる事も地面から振動が伝わってくる事も無い。
恐る恐る覗いてみると小さい人がピョンピョン跳ねながら服にしまってあるらしい何かを探している様子が見えた。

『・・・何やあれ・・人・・・?にしては小さ過ぎる・・・子供・・・・・・?こんな所に一人で・・・?』

忍足はその人間をじっくり観察してみた。
暗くてよくはわからないがどうやら赤い髪の中から長い物が二つ飛び出ていてどうみても”身”のように動いている。
やはり暗くてわからないが赤い大きな目に真っ白な肌──毛は生えていないようだ。

『耳と言い、跳ね具合と言い兎やな・・』
忍足は心の中で勝手にその小さい人を”兎”と呼ぶ事にした。

しかし疑問が残る。
一体あの子は何処から来たのだろう。

どんなに考えても確証は無いが先程光った変にアンティークな街灯からに思えた。
いや、そう思うしか無い。

もしかしてこの妙な世界は自分が普段いる所とは違う次元で出口はあそこにあるのかもしれない。

神隠しとはいきなり違う次元に入ってしまう事で消えたように見えるという事らしい。
時折その別の次元は口を開いているのだろう。

自分は神隠しにあったのではないか?
そんな推測をしてゾッとする。

あの兎──はきっとそこを行き来する方法を知っているのだ。
もし予測が当たっていたとしてあの中に飛び込む勇気は無かった。

一番安全な方法は此処の住人と話をする事だろう。
全員が出来るとも限らずあの兎が出来る可能性は高い。
となるとチャンスを逃す手は無いのだ。

兎はようやく探していた物を発見したらしく、胸のポケットから懐中時計を引っ張り出した。
耳を澄ましていると「今何時だ!?」とか「遅刻じゃん」とかいうやたらと大きい独り言が聞こえる。

未だ唖然としながら木の陰を抜け出して道に戻ってくると走り出した兎の後姿がはっきり見えた。










continue















***

自分は一体何をしているんだろう・・
考えてみる今日この頃・・
まぁいっか・・
いや良くない・・恥ずかしい。
ただ素材を使いたいだけになっている事に気付いてみた;
まぁヒヨガクも出来るしいいかぁ・・
今回も(?)忍足はヘタレです・・








用事があるので・・                    捕まえろ!









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