各立海本の小説の一部抜粋です。
勿論(?)エロ部分は入れてません。





Prophet



The peaceful sky

赤也は白と銀の部屋の窓を開いた。
蓮二が薄暗い場所を好むのかはわからないがこの部屋には風は入っても光は殆ど期待出来なかった。
赤也はドアも全て開いて床を箒で掃き始める。
埃や汚れは殆ど無かったが自分に与えられた仕事なので日課のようにやっていた。
部屋中から掻き集めてほんの少し集まった塵を片付けると今度はモップを掛け始める。
先程からずっと蓮二の視線が自分に向いている事は自惚れではなくわかっていた。
それについて何か尋ねるべきか赤也は考える。
訊けばこそばゆい答えが返ってくるか、もしくはろくでもない事を言われるか二つに一つだろう。
結局赤也はあまり期待しない事にして尋ねてみた。
すると蓮二の返事は案外普通で「買い物に行きたい」との事だった。
「城に関わる者ならもう少し良い服を着せてやりたいが、お前のように俺に恨みを持っている者がいるかもしれないから気が抜けないな」
事実を言っただけなのか嫌味なのかというのを蓮二の顔から判断するのはどうせ無理だと考えそれは綺麗に無視した赤也は少し考えた。
別に服の事など考えた事は無かったが蓮二がプレゼントしてくれると言うのなら欲しい気がしてくる。
「変装すればどうっスか?」
「顔を隠すような物は持っていないぞ」
再度の提案。
「目を開ければいいんスよ」
「成る程な」
頭良さそうなのに案外間抜けだなと赤也は思う。
勿論それは愛故の言葉なのだが。
「当然服もそれじゃ拙いっス」
赤也にそう言われて蓮二は襟の詰まった硬目の布の物を用意した。
デザインも質も普段とは全く違う物だ。
白地に同じく白の光沢のある糸で細かい刺繍が施された物で群青が袖口や肩にアクセントを付けている。
赤也には見た事の無い物だった。
加えて瞳が開かれれば普段とは全く違う雰囲気に自分が言った事とはいえ赤也は戸惑う。
「知らない人みたいっス…」
少しだけ赤くなった頬で拗ねたように呟くと蓮二は目を細めて言った。
「別に緊張しなくても良いだろう。セックスする時じゃないのだから」
赤也は余計に頬を赤くしてますます気分を害したようにさっさと部屋を飛び出した。
蓮二もその後をやや苦笑しながらゆっくりと追って行く。
庭に出ると弦一郎と精市が噴水の縁に腰を下ろして花を眺めていた。
「お忍びデートか‥俺達も行きたいね弦一郎?」
精市がそう言いながら赤也達の方を見て微笑む。
「蓮二は雰囲気が変わるから良いかもしれんが俺達はなかなか難しいのではないか?」
弦一郎もその方を見ながら言った。
「そうだな…弦一郎は顔が濃いからな」
少し怒ったように言う精市に、言われた当人と言った精市以外は苦笑した。

つづく

大分仲良くなった頃ですね。
蓮二達の年齢設定は高目でしょうか。
元の性格がアレではあまり意味が無いかもしれませんが蓮二はうちの中では比較的余裕があります。
でも裏(?)を返せば何時でもスタンバイOKな感じでエロいです。






***



Unconsciousness



午後の陽炎

「ねぇねぇ」
幸村が赤也に肩を寄せて少し小さい声で話しかけた。
今日は土曜日で授業も午前中に終わった。部活があるとは言え普段と比べれば何となく開放的な気分だ。
赤也は弁当を持ってきていて立海の中でも最強の三人と和やかに会話しながら昼食をとっていたのだが突然の幸村の言葉にそれは
見事に崩れ去った。
「真田とのHどんな感じ?」
赤也の顔が意図した以上に赤くなり、やや幸村は呆気に取られた。しかしすぐに気を取り直してからかい口調になる。
「…じゃ、真田に訊いてみようかな〜」
「やっ…止めて下さいよっ!!」
赤也は慌てて制止するが幸村は「ねぇどうなの真田」と満面の笑みで繰り出していた。
しかし真田は赤也以上に話についていけず箸に俵のおにぎりを挟んだまま固まっていた。
「あははは!面白いなぁ二人とも!」
幸村は機嫌を良くして昼食の続きに勤しむ。もう一人ペースを崩した人物がいる事にも構わず独走状態の幸村は平気な顔だ。
幸村に更に批判をぶつける赤也を横目に柳は始終黙ったまま機械的に口に食物を運び続けた。

「ねぇ柳。我慢する事無いんじゃない?」
相変わらず心を乱す事無く言う幸村を恨めしく思いながら柳は押し殺した声でようやくといった様子で口を開く。
「…掻き回せとでも言うのか?」
「別に。強制する事じゃないし。ただ自分の気持ちは大事にした方がいいよって言いたいだけ」
「この事に関しては構わないでいてくれ。俺は赤也が好きなだけだ。それでどうこうしようとは思わない。弦一郎との関係も壊す気は無い」
彼から感じる隠し切れない怒り。それを赤也に見せる事は無いのだろうな、と幸村はぼんやりと思う。
「究極的な問題だよ。どちらか一つしか選べない場合どちらを取るか、それを考えたら何を一番に優先すべきかわかるんじゃないかな?」
「望みすぎだと言いたいのか?我儘でもいい。俺はこのままが良いんだ」
「そう…。じゃ、希望に副って口出しは止めるよ。最後に言うけど、柳は我儘でも欲張りでも無いよ」
本当は赤也を激しいまでに求めている癖に。俺だって皆で仲良く行けたら良いと思うけどさ。でもやっぱりこのままじゃ本当じゃない。
最初は真田と赤也はお似合いだなと思って応援してたけど、だんだん柳でもいいんじゃないかと思うようになった。
赤也なら、二人が全く同じスタートラインだとしたらどちらを選ぶだろう。それが知りたい。
時間や偶然に影響されずに正しい判断を下すのは難しいから。
もし赤也の夢に柳が出ていたら。もし柳が先に赤也に好きだと言えばおそらく戸惑いはあっても赤也は頷いたと思う。
選択が正しかったかどうかは人生が終わるまで謎だ。それに立ち会う事が出来るかは少し疑問だけど…
あ、真田と赤也試合してる。
「赤也!真田なんてさっさとやっつけちゃってよ!」
大声で声援を送った幸村に赤也は頭を掻いた。

つづく

オチはカットしておきます。
これは中間地点で休憩みたいな感じの話。
幸村はこれと最初の入部編に登場。






***



恋愛定義



恋愛定義

赤也は仁王に部活が終わった後でサウスポーを封じる為の技の特訓に付き合って貰っていた。
そしてとうとうそれが完成したのである。
「今日は祝いじゃ」
そういう口実で仁王の家に初めて呼ばれた。
「練習にも付き合って貰ったのにお祝いにご馳走にまでなっちゃって悪いっスね」
赤也はそう言いつつも断る気が全くもって無かったのである。その証拠に屈託の無い笑顔で此処にいる。
「どうせ一人暮らしじゃけん。帰っても寂しいだけとね。気にせんと」
仁王は冷蔵庫を漁りながら言い、烏龍茶と生チョコを取り出すと帰りにコンビニで買ってきた弁当やケーキと一緒に並べた。
腹が満たされテレビ番組も一段落すると仁王が突然ゲームの提案をした。
「互いに想っちょる相手だと思いながらやるっちゅーのはどうじゃ?勿論ゲームと言うからには名前間違ったらアウトな」
「いいっスよ」
仁王の言葉に赤也は二つ返事で返した。そして始まった行為の最中に仁王は急かす事もしなかった。やっぱりゲームなんだと赤也は思う。
仁王の呼ぶ名にそれ程感慨は抱かない。
意外だというささやか否定すらしなかった。
ただ、『ああ、あの人なんだな』と思う。
同じように自分が呼ぶ名前も彼にはさほど興味の対象となり得ないものなのだろう。

その日以来癖になったそのゲームには新しいルールが出来た。
相手が決めた名前を呼ぶのである。
勿論実際にやっている相手の名前を呼び合う事は無い。

つづく

説明的な文章で始めてしまいましたが仁王と赤也の特訓〜VSアメリカまでの話。
仁赤で始まりましたが仁王は可哀相な結果になってしまいますので基本柳赤で仁王はスパイス的?な役割と思って下さい。
エンディングはともかく柳も可哀相だったりします。
この赤也は慣れてますが赤也も柳も仁王も話毎に別人格ですね。






***



レピドライト



レピドライト

※途中から

今は昼休み、次は移動教室だった。
昨日は教室から一歩も出なかったがサボる訳にもいかない。
しかも準備しておかなくてはならないので時間ギリギリに行くというのも無理だった。
柳は赤也がわざわざ教室にまで来ない事を知っていて故意に避けていた。
それは真田や幸村もいるクラスで問題を露呈したくない為だ。
「柳さん!」
赤也の声を聞いたが柳は構わず歩き続けた。
「柳さん‥」
赤也は尚も呼ぶが柳は歩調を緩めない。
暫く会話は無かった。
赤也はそれでも柳について行く。
三階分の階段を上り教室のすぐ近くまで来てようやく柳は足を止めた。
「何だ?このままでは部に居辛いから話し合いたいという事か?」
「何でそんな言い方するんですか…」
「違うのか」
赤也は黙って下を向いている。
「俺は気が短いんだ。それに準備当番に当たっている」
素っ気無く言った柳が教室に入ろうとするのを赤也は必死に止めた。
「何で…あんな事…までして……柳さんにとって………俺の気持ちって重要な事…?」
「そうだ。お前が認めなければ何の意味も無いからな」
赤也は柳の顔を一瞬だけ伺い見る。
「…データの正確さを証明する為ですか?」
赤也の話の繋がりと彼の口から出るには意外な言葉に柳は瞬時に対応出来なかった。
「…確かに俺はそういうテニスをやるが…それがお前の気持ちとどう関わるのかわからないな」
「柳さんは…ずっと一人の人なんて無理なんでしょう…?」
柳は返事をせず抱えていた教科書と筆記用具を持ち直した。
「だったら関係無いじゃないですか……」
柳の腕が強張り、抱えている冊子が折れ曲がっていく。
赤也はこの場で感情的になれば柳が迷惑がると感じてひたすら床を見つめて耐えていた。

つづく

強姦の上悪気無し。
一言で言うと柳が酷い男というやつです。
しかしどんな形であれ愛はあるというのがうちの方針。






***



狂音



羅針盤

※途中から

「赤也、理由もなしに部活を休むとはどういう事だ」
真田が赤也を問いただしている。無断で帰宅しようとした所を真田に見つかったらしい。俺は口を挟むべきかどうか悩んだ。
理由が聞けるものなら聞きたいとも思っていたのもある。赤也が俺に目線を寄越すのでますます迷った。そこで出たのがこの言葉だ。
「まず俺に言ってみて、それから弦一郎に言うかどうか決めるというのはどうだ?」
赤也はまだ渋々といった感じだったがそれで良いと言った。赤也の手を引いて端の方へ向かう。
「言ってみろ」
部活の時間に制服のまま着替えをしていない赤也。俺は勿論ジャージを着ていた。少し違和感がある。
赤也は随分長い間黙りこくっていた。何度も促すがなかなか口を開こうとはしない。僅かに溜め息が漏れた。
すると急に赤也が狼狽し出して俺も驚いた。
しかしややあって俺のジャージの袖をぎゅっと握りながら覚悟を決めたように赤也は唇を動かした。
「俺………何かよくわからないけど些細な事で凄く腹立って…それが段々溜まっていって、でもどうすればいいかわからなかった……。
それで………他人に当たったんです…。でも………それももう終わり…。」
赤也が制服のシャツを捲り上げると腹に酷い痣が出来ていた。今まで実際に見たことのある軽い打ち身ではなかった。
質的には変わらないかもしれないがかなりの範囲を占めている上人間の肌とは思えない色になっており放置出来ないレベルである事は
素人目にもわかる。
こんな傷があれば球を打つ度に響くだろう。少し何かが触れるだけでも相当痛いだろうに。赤也が休んだ理由はこれだった。
本当はそれだけではないのかもしれないが。
先に手を上げたのは赤也なのだろうがまだ赤也がどの程度の事を相手にしたのかもわからないし今訊く事も憚られた。
肌が白いせいで余計に酷く見えているだけかもしれないがあんな痣を見せられて善悪や理屈を無視しても赤也を擁護したかった。
それに赤也にそんな事をさせたのは自分かもしれないのだ。
だから怒りを何処に向けるべきかわからなかった。
「誰が………」
「訊かないで下さい……。………俺は今度は何処にぶつけたらいいんスか……?全部自分の中に収めなきゃ駄目ですか?でもそれじゃ……」
そうだ、自分の中で消化するには未熟過ぎる。
「捌け口なら俺が引き受ける」
言う言葉がそれしか思い浮かばない。そんな頼りない言葉に赤也が縋るのだと思うと罪悪感が湧いた。

つづく

始終こんな感じに暗いです。
柳も少し病んでますが赤也が一番病んでます。
神尾と真田はマトモです。
日吉に台詞はありませんがやっぱりきっと病んでます。




***



別れの唄



膝枕

暖かく優しい陽射し
春はまだ始まったばかりだった

あまりに気持ちが良くて青い草原に寝転がっていたら彼が来た。
彼は微かに微笑みながら俺の横に座った。
俺はそのまま寝転がっているのも悪いかな、なんて思って身を起こす。
そうだ、彼は何時も俺の背を馬鹿にしていた。
座ると頭の高さが違うという事を思い出す。
「何故こんな所で寝転んでいた?」
「何故って‥。理由が必要なんスか?」
ただ気持ちが良かったから寝転んだ。
理由としては不十分なので俺は言わずにおいた。
次に彼が何を言うのかを待ったが、彼はたった今自分が質問した事に反する行動をとった。
緑に萌えた草の上に寝転がって彼はどうやら空を眺め始めた。
彼の目が開いたら空と雲が映るだろうかと思った。
そう思いながらなんとなくタイミングを外してしまった俺はそのまま草の上に座っていた。
不意に彼がこちらを向いて、何だろうと思っていたらいきなり膝の上に頭を乗せられて、驚いた以上に恥ずかしかった。
「どうして寝転がっていたのかわかった」
彼がそう言っても、俺は返事を返す事が出来なかった。
固まったまま暫くそうしていたが、やがて何かしようという気分になってきた。
空は青かったが、俺は彼の顔を見下ろしている。
静かに息をする彼が眠っているように思えたのでそっと手を伸ばして触るか触らないかの所まで持っていった。
彼は何の反応も示さなかった。
薄く開かれた唇から一定の間隔で細く息を吐き出しているように見えた。
鼻の先に指を運んで、そのまま口元へ滑らせた。
大気に紛れているのか、彼の息はあまり温かくなかった。
頬を辿って再び指を上へ戻す。
そして瞼に指先を近付けたり前髪の先が風で爪に触るのを見ていたりした。
触れるつもりは無かったのに少し気を抜いたのだろうか、睫に触れてしまった。
そうしたら彼は目を開いて俺を見上げてきた。
「ごめんなさい!」
俺が勢いで謝ってしまうと彼は「フ…」と小さく笑って俺の手首を握った。

つづく

この話では赤也は無茶苦茶純情です。
まだこれは途中な感じですがこの本にあるのはあくまで別れる話なのです。
いよいよ別れるって話では捻くれた赤也がいます…
やっぱり話毎に別人格。






***








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